【飛雄視点】


バスに乗り込んで数時間。俺はそわそわしっぱなしてチームメイトに笑われながらも大学に着いた。チラリと見えた時、翔陽がナンパされていて、降りた瞬間に翔陽のところへ行こうとしたけど、コーチにじっとしてろ、と言われ渋々ミーティングの輪に戻る。翔陽がクスクスと笑っている顔が見えて少しだけほっこりとして疲れがまるごと吹っ飛んだ。

流れるように荷物を背負って、翔陽のところに走る。少しでも早く翔陽に触れたくて、翔陽と話したくて少しの距離でさえもどかしい。力いっぱい抱きしめて首元に頭を押し付け、翔陽の甘くて夏の匂いを胸いっぱいに吸い込む。グリグリと頭をさらに押し付ければ髪の毛が当たるのかくすぐったいと笑っていた。甘い翔陽の声にただいま、と返事すればやっと帰って来たという感覚になる。抱きしめすぎていつの間にか抱き上げる形になっていた。

「翔陽、迎えありがとう」
「いいえー、荷物一杯あると思ったから」
「そっか」
「あと飛雄に早く会いたかったから」

もう翔陽が可愛すぎて死にそう。だけど、翔陽を一人にさせるわけにはいかないから生きる。0.5秒の間に瞬時に切り替わった俺の意見はいつも通りだ。顔が赤くなっているのをチームメイトに冷やかされ、そして翔陽のことを紹介しろ、と言われる。先輩だから逆らえないし、昔から馴染んでいる体育会系の縦社会にかなり不服だけど、翔陽を紹介する。多分、俺の彼女ぐらいにしか思っていないのだろう。あえて妻、という言葉を使えば先輩は口をポカン、と開けて俺と翔陽を見比べる。やっぱり彼女くらいにしか思っていなかったみたいだ。あと、いつも女子生徒からの告白を断るときに言う結婚しているから、という言葉は今でも信じられていなかったみたいで、そんな嘘をつくなよなーといつも言われている。バレーしているときは指輪を外しているけれど、それ以外のときは指輪をつけているはずなのになんでだろう。

「嘘じゃありません!翔陽は俺のです!!」
「飛雄、落ち着け!」
「ん・・・」

頬を少しだけ赤くさせた翔陽は犯罪級に可愛い。俺がこの間シャツワンピースを着ているからさらに幼く見える翔陽を後ろから抱きしめる。紺色のそれは翔陽が一目惚れしたもので、なんでも俺の目の色と一緒だから、と言っていた。何も言わずにこれを買ってしまった俺の行動は間違っていないと思う。年々、服の趣味が俺色になっていくのが堪らない。翔陽は何着ても可愛いけれど、俺を連想させる色の洋服を着ている翔陽は天使と見間違えるほど可愛い。

「オレってそんなに幼く見えるの?」
「翔陽はいつまでも綺麗だから、若く見えるんだと思う」
「綺麗ってーもうすぐ30のおばさんに何言ってんだか」
「おばさん、じゃない。翔陽は俺のお嫁さんだろーが」
「はいはいそうですね」

多分、翔陽は20代あたりから年を取るのを忘れたのだと思う。もうすぐ30のおばさん(翔陽談、俺はそうと思っていない)だと言っているけれど、年々可愛くなっていく翔陽に俺は不安を隠せない。いつか誰かが俺の天使を横から奪っていくんじゃないかといつも不安だけれど、こうして俺の腕の中に黙っていてくれるあたり翔陽も俺のものだと思っていてくれてるのかもしれない。

ひっつき虫と化した俺に苦笑しながら帰っていった先輩に挨拶をして翔陽の持っていた車の鍵を取る。最初はオレが運転する!と言って離してくれなかったけど、翔陽と話しながら車の鍵を手の中から奪えば奪い返そうとすることもない。あとは中々食い下がらない俺に慣れたのだろう。

「ほら、帰ろう?お腹すいてるだろ?一杯ご飯作ったからさ!」
「ん」

荷物を後ろの席に入れて、翔陽を助手席に座らせる。まだ俺が大学に入りたてで運転免許をこれから取る、って時に翔陽は「助手席はオレだけにしろよ」と言ってきたので必死に勉強して一発で試験を合格した。それから俺が運転するのは翔陽の隣だけだ。



練習を再会したその次の次の日にはチームメイトに囲まれ、翔陽を車に乗せた時の様子をからかわれたり、ひっつき虫になっていた俺のことを言っていた。なんでも、ナチュラルすぎて周りにいた女子たちの目がハートだったぞ、と言っていたが俺はこれからも結婚しているから、と告白を断るつもりだし、今もこれからも俺は翔陽しか目に入らないんで、と言ったら惚気乙、と言われた。なんのことだろうと思って高校の時の同級生の月島に聞けば鼻で笑われた。とりあえず怒鳴っておいたが結局翔陽に聞くまでどういう意味あのかわからなかった。別にのろけたつもりはないんだけど。

まさ様より、『女体化日向受け落描き2』で描いてた粘着系男子飛雄ちゃんな年の差影日♀を再び書いていただきました!
前回のお話はこちらです。
明日も、あさって、ずっと、ずっと、大好き
明日も、あさって、ずっと、ずっと、愛してる

今回は翔ちゃん大学訪問編でした。
「翔陽は俺の!!」とアピールしまくる飛雄ちゃんが可愛いです…!
そして全く老けない翔ちゃん(笑) 翔ちゃんは確かに20代から時が止まっていそうです。かわいい。
チームメイトの前でもいちゃいちゃしちゃう影日ちゃんご馳走様でした。
そしてなんやかんやと仲良しなツッキーと飛雄ちゃんに和みました。お前らなんやかんやで仲良いな!

まさ様はpixivで素敵な小説を書いていますので、他の作品も見てみたい方はコチラからどうぞ。
まさ様、素敵な後日談ありがとうございました!

2014/9/26