まさ様より、『女体化日向受け落描き2』で描いてた粘着系男子飛雄ちゃんな年の差影日♀を書いていただきました。

前回のお話はこちらです。
明日も、あさって、ずっと、ずっと、大好き
明日も、あさって、ずっと、ずっと、愛してる

昨日も、今日も、ずっと、ずっと、大好き

大学というのはいつも騒がしい。講義が早めに終わった学生たち、これからどこかへ遊びに行ったりデートに向かう学生カップルたち。飛雄の2週間の合宿が終わって、夕方に大学に着くと連絡をもらったから車で迎えに行く。出発したときは朝早くて、オレも仕事があったから家から見送った。ギリギリの時間になっても抱きついたまま離れなくて、無理やり離して見送った。それももう2週間前なのだ。しばらくぶりの仮の一人暮らしはとても寂しかった。最初は何も考えずに朝ご飯も夕ご飯も二人分作ってしまって、何度か飛雄の食べる分量のお弁当を作ってしまってそれを消化するのに大変だった。お風呂の後のソファでのいちゃつく時間も寝るときも広いベッドに一人ぼっちで自分が作り出す音しかない生活は違和感しかなかった。

仕事だってあまり身が入らなくて、今日、オレがそわそわとしていたら上司に早く帰ってあげなさい、と言われたのでこうして着替えてから車で迎えに来た。正門前に車を止めて外に出て空気を吸い込む。もうすぐ30近いというのに学生に紛れ込む程の見た目と身長はもしかしたら自分が高校生の時から変わっていない。興味津々でチラチラとこちらを見る学生たちが何だか懐かしい。オレも学生だったのになーと思っていると数人の男子グループがこちらに寄ってきた。

「おねーさん、誰か待ってるの?」
「そうですけど・・・何ですか?」
「時間あるならどっかお茶しに行きませんかー?」
「旦那を待ってるのでやめときますね」
「えっ」
「え?」
「旦那?」
「はい。旦那。」
「おねーさんも大学生でしょ?」
「三十路のおねーさん、ですよ」
「えっ」

ビックリしている顔をしている男子グループの後ろをバレー部の大型バスが正門に入っていった。あ、と小さく声を上げるとそれに反応したのか後ろを見て、バレー部のバスがあることがわかる。居心地悪そうに退散していった男子グループを見送って、バスからぞろぞろと降りてくるのを見る。少しだけ抜きん出ている飛雄の姿が見えて思わず笑みが溢れる。大学の敷地の中に入るのは勇気が行ったが、とりあえず入ってみる。その途端に飛雄がこっちに来ようとしていて、コーチに怒られていた。怒られてやんの。

「こら!影山!ミーティングくらい聞け!」
「・・・っす」

しょんぼりと背中を丸めてチームの輪に戻れば一気に笑いが上がる。照れている飛雄はいつも口を尖らせる。やっぱり口を尖らせていて少し子供っぽく見える。何とも可愛いやつめ。10分くらいのミーティングが終わって、大きい荷物を持った飛雄が一目散に走ってきた。ドドドドド、と地響きがしそうなくらいの勢いで、大して距離がないからすぐに目の前に来た。ぎゅううううううううう、と力いっぱい抱きしめられて飛雄の匂いに包まれる。

「とびお、くるしい」
「しょーよー、しょーよー、」
「お帰り、飛雄」
「しょーよー、ただいま」
「ほらー離せって」

グリグリとおでこが首元に擦り付けられる。抱き上げられているから足が地についていない。パサパサと当たる髪の毛がくすぐったくて笑ってしまう。しばらくして下ろされて、やっと飛雄の顔を見ることができる。

「翔陽、迎えありがとう」
「いいえー、荷物一杯あると思ったから」
「そっか」
「あと飛雄に早く会いたかったから」

一気に顔を真っ赤にさせて通り過ぎていくチームメイトに冷やかされている。何人かに紹介しろよーと言われて飛雄が不服そうに俺を紹介する。

「俺の妻の、翔陽・・・」
「飛雄がいつもお世話になってます」
「奥さん?」
「俺の、奥さん」
「まじでいたのか。嘘かと思ってた」
「嘘じゃありません!翔陽は俺のです!!」
「飛雄、落ち着け!」
「ん・・・」

後ろから抱きつかれなんとかこのひっつき虫飛雄を離そうとするものの意外と力強くて腕が解けない。諦めることにして話しかけてきてくれたチームメイトに挨拶をする。何度も飛雄よりも年上であることを確認されてはビックリした顔をされる。そんなに幼く見えるのだろうか?昔よりかは落ち着いた(と思う)からそれなりの年に見えると思うんだけど。

「オレってそんなに幼く見えるの?」
「翔陽はいつまでも綺麗だから、若く見えるんだと思う」
「綺麗ってーもうすぐ30のおばさんに何言ってんだか」
「おばさん、じゃない。翔陽は俺のお嫁さんだろーが」
「はいはいそうですね」
「はい、は一回」
「はい」

頭の上に顎を置かれる。ソファで一緒にくっついて座っているときは大体こんな感じである。こんな甘えん坊な飛雄にビックリしたのかチームメイトたちは苦笑しながら帰っていった。

「ほら、帰ろう?お腹すいてるだろ?一杯ご飯作ったからさ!」
「ん」

車のキーを奪われ、荷物が後ろのシートに押し込まれる。そしてさりげなく助手席に座らされ、運転席には飛雄が乗り込んだ。飛雄が運転免許を取ってからはあまり運転したことがない。オレが一人のときはオレが運転するけど、それ以外はほとんど飛雄が運転してるからほぼペーパードライバーも同然である。