『なぁ新八』
何ですか?
『……。』
? どうしたんですか?
『……。』
何か僕に用があったんでしょう? 黙ってちゃわかんないですよー
『…俺たち、もう終わりにしねェか』
……え?
『じゃ、そういうことだから』
ちょ、ちょっと待って下さいよ銀さん。
どうしたんですか一体…、えっと、何かの冗談ですよね?
僕、何かしちゃいましたか? ねぇ銀さん、待って下さい
――――どうして僕一人、おいて行くんですか?
***
重たい瞼を開けて映った景色は、いつもの教室だった。
え、教室? あれ、僕 教室にいるの?
思考回路は起きたばかりでいまいち動かない。あぁそうだ、放課後職員室に呼び出された銀さんを待ってたんだ。
(それで寝ちゃったわけだ。)
バイトでの疲れがあるのか、とても重たい身体。
起こす気になんて到底なれなくて、机に突っ伏したままもう一度目を閉じる。
教室には僕以外に誰もいないようで、とても静かだった。
いつも残って遊んでる沖田くんと神楽ちゃんがいないから、結構遅い時間なんだろうな。
(このまま寝ちゃおうかな。どうせ銀さんももう帰っちゃっただろうし。)
窓から入ってくる光がちょうどあたって、それがまた眠気を誘う。
(―――そういえば、すごく嫌な夢を見た、気が、する)
銀さんにおいて行かれるような、そんなような感じの。
ああだめ、今日は姉さんに買い物を頼まれてたのに。ここで寝たら買い物に行けなくなる。
仕方なくずるずると引きずるように重たい身体を起こす。
「あ、起きた?」
声。
声がする。
「やっとうるせェくそばばあから解放されたってのにお前、銀さんほっといてお昼寝ですかコノヤロー」
起こしたところで、身体は重たいままだった。
ただ一人だと思っていた教室には、僕の斜め前の席でお行儀悪く机に座って、ジャンプを読んでいる人と二人だった。
(銀さん、まだ帰ってなかったんですか。)
声に出したつもりだったけど、何の反応も見せない様子をみると出ていないようだった。
でもよかった、銀さん待っててくれたんですね。僕、もう一回寝ちゃうところでした。
銀色のふわふわとした髪が、今日はなぜかぼやけて見える。
おかしいな。眼鏡をかけてないからかな。
「何回声かけてもお前起きねェから、もう銀さんジャンプ3回も読んじゃったんですけど―――――――
って、新八、どうした」
どうしたって、何がですか?
顔に跡とかついてますか? 寝ぐせとかついてますか?
あ、もしかしてよだれとか出てましたか? やだなあ恥ずかしい。
「よだれなんてつけて、はずかしいですよね」
なんだか喉がきゅうっとして、舌ったらずになってしまった。
机に2、3滴ついた水滴を袖でこすっていると、困った顔をした銀さんが僕の手首を掴む。
驚いて銀さんを見上げても、視界はぼやけてよくわからない。
「お前、泣いてるぞ」
銀さんの腕に優しく抱きしめられる。
泣いてる。ああ僕、泣いてるのか。
自覚したとたん溢れだす涙は、どんどん銀さんの制服を濡らしていく。
「…銀さんは、僕のこと好きですか?」
「…は?」
浮かぶのはさっき見た嫌な夢。
内容なんてはっきり覚えてないし、曖昧だけど、安心できるぬくもりだとか、抱きしめてくれる腕だとか、優しく名前を読んでくれるその声だとか、全部全部僕の手を滑り落ちてしまうような気がして。
泣いちゃうくらい、どうしようもなく不安で。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、きょとんとしていた銀さんは笑って少し力を入れて抱きしめてくれて。
「うん、好きだよ」
僕の一番欲しかった言葉をくれた。
「糖分よりもジャンプよりも、新八が好き。お前を1人にしないし、置いていったりもしない。それに、新八の笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も、全部が愛しい。お前がなんの夢見たか知んねェけど、銀さんは新八が大好きだから、心配すんな」
ぽんぽんと優しく頭を撫でてくれる銀さんの手はあったかくて、とても安心した。
嘘 吐 き ナ イ ト メ ア
わーい! 泉さまから頂いちゃいました同級生銀新!
メールでやりとりしてる時に私がとある絵を捧げたんですが、そのお礼ということで頂きました! 何コレ海老で鯛を釣るにも程がある!!
しかも今回タイトルもつけさせて頂いちゃいました!
いや……うん、こんなに素敵な小説なのにタイトルのセンスが無くてすみません!(土下座
裏設定として、実は坂田さんが2年程ダブってるそうですよ(笑
そんな問題児坂田と仲良しの新八が可愛すぎです萌えますvv←
当初は一緒にいるだけで新八がイジメられてるのかと皆に勘違いされてたんでしょうね!(ニヤニヤ
泉さま、可愛い同級生銀新小説をありがとうございました!
また今年もいっぱいメールしましょうvv