甘い掛詞は二人の愛詞

｢影山～｣
｢んぁ？｣

テコテコと向こうからやって来た日向。何やら上機嫌でニコニコと笑っている。どうした天使。

｢ピザって10回言ってー｣
｢ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ｣

指を折りながら言えば楽しそうに俺を見る日向。どうせあれだろ。ここはー？って来るんだろ。

｢じゃあココは？｣
｢ひじ｣

ほら見ろ。

｢ひな、｣
｢じゃー次｢すき｣って10回言ってー｣
｢・・・すきすきすきすきすきすきすきすきすきすき｣

これで何出す気だ。

｢おれもー!!｣
｢・・・｣

ぎゅむ、と抱きついてきた日向に一瞬思考が止まるものの、直ぐに抱き締め返す。

へにゃりと笑い、幸せそうに抱き着いてくる日向マジ天使。

｢で？｣
｢ん？｣
｢何がしたかったんだ｣
｢・・・あ、問題!!｣
｢あほ・・・｣

何問題忘れてんだよ。言い損じゃねぇか。

｢ココにするのはー？って問題だったんだよー｣
｢キス｣
｢せーかい!!｣
｢したろか｣
｢え、｣

自分の唇に人差し指を当てていた日向は、ぼん、と真っ赤になり首を横に振る。そんな問題何処で覚えてきた。月島か。二年生か。

額にキスを落とし頭を撫でる。

｢影山にすきって言ってもらって嬉しくてつい問題忘れたじゃねーか!!｣
｢・・・｣
｢このバ影山!!｣
｢へーへー｣

ぎゅむ、と抱き締めれば大人しく俺の背に手を回す日向。

｢日向、｣
｢んー？｣
｢すきって、10回、｣
｢・・・すきすきすきすきすきすきすきすきすきすき｣

なぜかふて腐れながらも小さな指を折りながら小さく答える日向。

言ったと、顔をあげる日向に、俺は日向の肩に顎を乗せ、

｢・・・ん、俺も｣

囁くのだった。





甘い掛詞は二人の愛詞



(～～～っ!?)
(ふ、真っ赤だぞ)
(お前のせいだ!!)
(はいはい・・・日向、)
(な、なんだよ)
(お前ほんと可愛いよな)
(な、可愛いって言った方が可愛いんだぞ!?)
(いや、それ違ぇだろ)
(!?)