みく様より、影日♀&つきやちでの運動会小説を書いていただきました!
団メンバー一覧
日向(♀)、影山、菅原、田中、縁下、清水。
月島、山口、澤村、東峰、西谷、谷地。
騎馬戦
影山、菅原、田中が土台となり、日向が上に。
山口、澤村、東峰が土台となり、谷地が上に。
「勝負だ!!」
「日向頑張れよ~」
「日向暴れんじゃねぇ!!」
「す、スイマセンっ!!」
「はわわわっ!!」
「谷地さん、大丈夫だから、ね!?」
「月島は?」
「あ、身長的に下になって疲れるから却下、だそうです」
『これより、騎馬戦を開始します。騎馬は前に出てください』
「勝てよ日向」
「おう。なぁ、勝ったらなにくれる?」
「・・・何、何か欲しいのかよ」
「・・・うん」
「高いのは無理だからな」
「ん、頭撫でて」
「・・・ふ、好きなだけ撫でてやるよ」
「やった」
「二人共、始まるべ」
―――パンッ
開始の銃声と共に取っ組み合いが始まる。日向と谷地は開始位置がズレていた為か最初は当たらなかった。
「っしゃ!!」
「影山、次右な」
「はいっ」
上が小柄でも土台が平均以上の身長で成り立ってあり、尚且つ日向自身の持ち前の反射神経があり、挟み撃ちにされようが、総て倒されてしまう。
それは谷地も同じことを示し、さらに土台が一年生の所では、東峰に怯え動きが制限されている所もあった。
「勝負だ谷地さん!!」
「っ、負けないっす!!」
気弱な女の子だからと手を抜けば、谷地はきっと怒るだろうし、負けてしまえば下で土台になってもらっている先輩方に申し訳ないし、欲しいものが手に入らなくなる。
それは困ると言わんばかりに、日向は小さな手を懸命に動かす。
あと少しで届く、所で土台が崩れそうになり慌てて体勢を立て直す。そこに手が延びてきて、本能的に負けてしまうと悟った日向は無意識にその手を払い除ける。
日向の手は谷地の頭部まで掠めた。その時、たまたま目的のものまで触れてしまい、風に乗って谷地の元から離れてしまう。
つまりは、谷地の負けということだ。
「あ、」
「お、おぉ!?」
「はぁ、」
「・・・か、勝ったぁ!!」
谷地の騎馬が相手の最後の騎馬だったようで、回りを見ても見方しかいない。菅原はそれに気づき、田中は半信半疑で、影山は終わったと肩の荷を降ろし、日向は騎馬の上とも構わず跳び跳ねた。
「あ、バカッ!!」
勝負はついたのだからもう騎馬が崩れても問題はないのだか、土台から跳び跳ねれば土台はおろか自分も落ちて怪我をしかねない。
東峰や菅原たちメンバーは顔を青くする。が、そこはリーチと反射神経を持ち合わせた王様が両手を広げる。
そのまま腕のなかに落ちた日向は顔を強ばらせ影山の体操服を掴む。尻餅をついてグラウンドに座り込んだ影山は肺に入っていた空気を総て吐き出すほどのため息をついたあと、
「・・・っんの、ボケ日向ぁ!!」
「ご、ごめんなさいっ!!」
怖かったのか、涙目の日向に怒鳴った影山は言葉をつまらせる。
「ったく、女なんだから、無茶すんな」
「う、うん・・・」
「ったく、怪我してねぇな」
大丈夫だと千切れんばかりに顔を上下に首を振る。
影山はもう一度ため息を溢し、日向を抱き締めた。
(もう二度とすんなよ)
(ん、ごめんなさい)
(はぁ、)
(・・・影山ぁ)
(んぁ?)
(撫でて?は?だめ?)
(・・・ったく、)
(っ!!へへ~)
応援合戦
影山、と呼べば手袋を嵌めながら振り向く影山。
「ん?どうした?」
「っ、」
「あ?なんだよ」
ベタな黒の短ランのボタンを空け、中には晒を巻いているだけでTシャツなどは着ていない。下はいつもの学ランのズボンではなく、だぼっとしたズボンを履き勿論裸足。
髪も、いつもの前髪はなくなっており、ワックスか何かでオールバックになっている。
これに見惚れないで何に見惚れろと言うのだ。
証拠に見とれているのは日向だけでなく回りにいる女子生徒はたいてい顔を赤くしている。
「日向?顔赤いぞ?大丈夫か」
「へ!?お、おお、おう!!」
「ふ、ちゃんと見とけよ?」
「ん、うんっ!!」
「ん、行ってくる」
そう言って、日向の額に口づけをして、菅原達の元へ向かった。
(お疲れ影山)
(あざっす)
(影山ー!!)
(うおっ)
(何で途中で上脱いだんだよ!?)
(そう言う演出だよ!!)
(かっこいいんだよ!!ばかっ!!)
(はぁ?)
(も、ばかっ、それ以上モテてどーすんだよっ、ばかっ)
(・・・日向、お前可愛いな)
(はぁ!?)
100メートル走
男子100メートル走。学年別なので澤村や西谷とは当たらないが、
「お前、走れんのかよ」
「・・・君は僕のこと病弱か何かだと思ってるの?100メートル位走れるよ」
「お、おう・・・」
一年生最後、身長順ならんだせいか、影山の相手は月島だった。
応援合戦の時は澤村と西谷に無理矢理着せられたと言う長ランの制服を見事に着こなし、女子からの声援が恐ろしいことになっていたのは記憶に新しい。
影山のように脱ぐことはなかったが、澤村に脅さ、頼まれた偽の爽やかスマイルに心を奪われたマダム達は多いだろう。
何でこんなことを、と最後まで言っていたが、始まってしまえばいっそのこと観客総て魅了してしまおうかと悪魔が飛び出していたそうだ。嬉々として話す山口がいっそ恐ろしい。
銃声にいちいち眉をひそめる月島はたまに観客席を見る。
そこにはなぜか敵のはずの清水と日向が谷地に何かを迫っていた。何をやっているんだか。興味もなく前を向き直るとあと少しで自分達の番だとわかりため息が深くなる。
「負けねぇからな」
「はなから王様に勝てるなんて思ってないよ」
「真剣にやれよ」
「・・・ほら、始まるよ」
体育祭自体乗り気でない月島が単独競技でそこまで頑張るとは思えない。
影山はため息を溢し、用意に出た。
銃声に顔をしかめつつ、走り出せば先ほどとは比べ物にならないほどの声援で流石に驚く。
『先程の応援合戦で魅せてくれた二人が走るとなると女子からの声援が一気に元気になりました!!』
それは他の走者に失礼でないだろうか。ため息をつきながら前を走る影山を見る。
「つ、つつつ月島くん、頑張れー!!」
「っ、」
そこまで声も大きくないのに拾った耳を恨む。ちらりと見れば団席で谷地が体操服でなく何故かチアの格好をしている。清水が迫っていたのはこれか。
我ながら単純だと思うが、次の瞬間には影山を捉えていた。
もしかしたら抜けるかもしれない。そう思った刹那、
「影山ぁー!!頑張れー!!」
「っ、ったく、」
日向の声が響く。日向も同様にチアの格好をしており、後ろで清水が微笑んでいる。貴女も着ればバレー部は全員ぶっちぎりでトップを取っただろうに。女神に捧げる勝利だとでも言って。
月島以上の単純思考で現金な影山はスピードを早めた。何でそんなに早いんだと思いつつ、月島はそれに追い付いて並んでいた。
『ど、同時!!同時に話題の二人がゴールしました!!』
話題にするな。毒つきながら、体に巻き付いたテープを取る。
「同率とか納得いかねー」
そんなことを月島に言ってもなにも変わらないのだが、全く息が上がっていない影山に月島は無言でにらむ。
「王様、良いのあれ。男群がってるけど」
「チッ」
迫力満点の舌打ちを隣で聞いた月島はため息と共に影山の隣を歩く。
影山の目的は日向であり、月島の目的は谷地である。
月島も知らぬうちに形相が恐ろしいことになっており、いち早く気づいた男子生徒の顔が青ざめる。
御愁傷様とバレー部の先輩方は拝んでいるが、三年は止めるタイミングを伺っているようにも見える。
「谷地さん」
「あ、月島くん。お疲れ様」
「取り敢えずこれ着てて」
渡したのは応援合戦で着ていた長ランで、それを肩にかけ身長を利用して谷地を隠したあと、回りに群がる男どもに無言の圧力をかけていた。
その頃、影山はというと同じように日向に学ランを着せ、男どもに威嚇をしていた。
影山にとっての短ランなら、日向にとってはベストサイズであり、残念ながら隠したかったひとつの足は丸見えのままだった。
一通り蹴散らしたあと、腕の中の日向を見れば、抱きついて笑っている。
「何でそんなカッコなんだよ」
「変か?」
「や、可愛いけど」
「へへ、潔子さんがこうすれば影山喜ぶしぶっちぎりでトップ取れるからって!!」
「・・・清水さん、」
「ふふ、その通りだったでしょ?」
「やめてください。他にも見てるやついるんスから」
直ぐに競技があるのだから着替えてこいと催促すれば特に不思議がることもなく谷地と共に着替えにいった日向。
その背を見送った後、影山はもう一度清水に釘を指したのだった。
(可愛かったでしょ?)
(可愛いのは当たり前です。あいつモテるんですから止めてください)
(ふふ、月島、焦ってたわね)
(貴女のせいですか・・・止めてください)
(なんの話だ?)
(何でもねぇよ)
(あ、あの、月島くん、これ、ありがとうございます)
(別に、次からはやめてよね。僕以外にも見てる奴居るんだから)
(?はぁ、・・・)
部活動対抗リレー
一番、田中。二番、月島。三番、西谷。四番、菅原。五番、影山。アンカー、澤村。
の順で行われる対抗リレー。日向も出たいと駄々をこねたが、菅原と清水に諭されてはなにも言えない。
代わりにと言ってチアの格好をさせて応援させようと思ったが、今回はチア部と被ると言うことで怒られた。
さて、ではどうやってあの男達を全力で走らせることができるか。清水は即席で考え、思い付き、リレーが始まる前に二人を部室に呼び出し、ついでに菅原も呼び出し二人を着替えさせた。
体操服の下に着込み、なにもしていないと装い、始まるのを待つ三人と余った東峰達。
「大丈夫かな~怒られたりしないか・・・?」
「大丈夫よ。二人共スガに弱いもの」
「・・・うん(清水、こんなキャラだっけ?)」
『さぁ!!始まりました部活動対抗リレー!!みなそれぞれ部活動に使用する器具を持ち走ります!!』
ちなみに、バレー部はバレーボールをもって走る。走りにくい事は言わなくても知れたことだろう。本人達は気にしていないようだが。
「二人共、田中が走り出したら脱ぐのよ」
「はいっ!!」
「大丈夫かな・・・」
清水の声の後直ぐに銃声が鳴り、一斉に走り出す。
二人は体操服の上だけを脱ぎ、ハーフパンツにしまっていた上着の裾を取り出す。
「田中先輩ふぁいとー!!」
「が、頑張ってくださーいっ!!」
田中と西谷の場合二人より清水の一声で変わると思うのだが。東峰の思いは清水には届かず、一年生二人がチアの時に持っていたオレンジと黒のポンポンを持ってはしゃいでいる。
二人が着ているのは烏野排球部のユニフォームだ。9と11の番号が書かれており、一年生の長身コンビのユニフォームで間違いないだろう。
次の走者の月島はため息をつき、清水を睨む。返ってきたのは男子は卒倒の女神スマイルで、月島は思わず舌打ちをする。
「月島頑張んべ~」
「・・・あんたもか」
さとい月島はあの二人の格好に菅原も関わっていると気付き、ため息。と、共に田中からバトンが渡される。
月島は一秒でも早く西谷にバトンを渡し谷地を他の男の目から隠すことだ。なんで身長差約40㎝の自分の服を彼女が着ているのだ。着るなら西谷のようなサイズの方が際どく映らないのに。下に着ているであろうハーフパンツさえも隠れてしまっている。
「月島くんっ!!頑張って!!」
「はぁ、」
「月島ぁ!!後少しだ!!」
谷地の声にほころぶ顔をため息で隠し、西谷の声で想像が膨らんだ。
彼女があんな格好で他の男の目につくのも気に入らないが、西谷のユニフォームを着ている彼女もまた気に入らない。別に、恋人同士でもないのに。
バトンを渡し、西谷を見送り影山に声をかける。
「あれ、どうしたんだと思う?」
「清水さんだろ」
「だよね。全く」
何故自分がこんなにも苛立たねばならないのだ。行き場のない怒りはきっとテントで応援している幼馴染みと思い人に向かうことだろう。
西谷が清水の声援で猛スピードをだし、菅原に代わるまで、影山は先輩を応援することなく、敵のスピードを見るでもなく、ただ自分のユニフォームを着ている恋人だけを目で追っていた。
日向達がいるのは澤村にバトンを渡す場所から少しいった所だ。
現在バレー部は陸上部と肩を並べており、菅原から影山に渡れば恐らく影山が先頭をきるだろう。
そのまま澤村にバトンを渡し突っ込もうそうしよう。本能のまま貪欲で煩悩のまま直進の影山が考え出したら止まらない。
「影山ファイッ!!」
「はいっ」
渡されたバトンを強く握りしめ、隣にいる陸上部をものともせず走り出す影山。
目的は優勝でも陸上部を負かすことでもなく日向自身に照準が合わさった影山に追い討ちのように日向の声援がかかる。
「か~げやまー!!頑張れー!!」
ぴょんぴょんと跳び跳ねる日向に綻ぶ顔とは反対に増すスピード。
清水が何か日向に告げて、日向はこくりと頷く。そんな仕草も可愛いと思う影山は陸上部のプライドを踏みつけている事を知らない。
「とーびおー!!ふぁいとー!!」
ああくそ可愛い。もうすぐ追い付くと意気込んだ陸上部が聞き取った言葉。怪訝に思い少し前の男を見た次の瞬間にはもう距離が開いていた。
これには清水も驚いたようで、計画通りだと樮笑んでいた顔が驚愕に変わる。
「澤村さん!!」
「お、おう!?」
澤村はまさかこんなに早く影山が到着すると思わなかったらしく、戸惑いも表し走り出す。
影山は上がる息もそこそこに応援席にいた日向の元に向かう。
「っはーー・・・」
「お、おう、お疲れ?」
飛んできた影山に抱き締められ、特性のポンポンを落とす日向。
火照った体に手を添え、上下する背中をさする。
「お疲れ影山。早かったなぁ」
「あ、たり、まえだ・・・ぼけ、」
100メートル走では息一つ上がらなかったくせに。茶化すように言えば、3倍だぼけ。と返ってきて思わず笑みがこぼれる。
遠くでは、バレー部が体育祭初優勝だと騒いでいるが、影山は自分の心音しか聞こえないし日向も影山の心音と吐息しか聞こえない。
「かっこ良かったぞ」
「おー・・・」
「ひひ、惚れ直した」
「は、とーぜんだ」
乱れた呼吸が段々と直り、影山は自分の手を日向の頬に添えた。
ふわりと太陽のように微笑んだ日向に、他の人間には絶対に見せない笑顔を浮かべた影山は、そのまま日向の唇に噛みついたのだった。
(っしゃー!!優勝!!)
(影山大活躍だったからなぁ)
(っす)
(大地達は二位だったな~)
(良いんだよ。部活動対抗リレーで陸上部に勝てたから)
(影山と月島、明日から絶対に陸上部から熱烈アプローチ来るべ)
(俺はバレー以外興味ないんで)
(陸上とか疲れそうだからお断りします)
(あとは、女子からの熱烈アプローチな)
(要らねぇ)
(はぁ、面倒くさい)
みく様より書いていただきましたー! 可愛い!
翔ちゃんを男の子にするか女の子にするかを選ばせていただきました。すごく迷った…
みく様は女の子の描写がとても可愛いので、にょたひなちゃんリクさせていただきましたー。もちろん男の子翔ちゃんも可愛いけどね! どっちにしろ日向は天使だからね!
つきやちも大好きなので、影日♀もつきやちも楽しめて美味しいお話でした。
チアひなやちちゃんとか彼ユニひなやちちゃん可愛い……! そら二人も本気出すわ!
そして応援団な飛雄ちゃんとツッキーとか反則でした。絶対似合うやん…絶対イケメンやん……!
みく様は、こちらのHPでハイキューキャラ×女の子のお話も書いています。他の作品も見てみたい方はコチラからどうぞ。
みく様、素敵なお話ありがとうございましたー!